危険な粉じんを見逃すな!粉じん計で測定できる粒子の大きさ

工場や倉庫、作業場などで粉じんの濃度を測定して、いち早く危険を知らせてくれる粉じん計。最近ではレンタルサービスも充実してきました。
でも、あんなに小さい粒子をどうやって測定しているのでしょうか?大きさや種類は何でも測定できるのでしょうか?粉じん計で測れる粒子についてご紹介します。

 

花粉や黄砂、舞い上がる小麦粉の粉も粉じん

粉じんというと特別なもののように聞こえますが、空気中を舞う細かな塵のことで実は私たちの周りにも沢山あるものなのです。地面を歩くと舞い上がる砂埃や花粉、小麦粉を使ったときに舞い上がる粉なども粉じんです。普通に息をしている空気の中にも、少しの粉じんは含まれているのです。
日常生活では通常気にすることのない粉じんですが、粉じんが大量に発生する場合や有害物質を含んでいる場合には注意が必要です。アスベストや鉛など有害な物質を含んだ粉じんはもちろん、そうでなくても多量の粉じんを吸い込むと深刻な健康被害がでることもあります。また可燃性の粉じんは小さな火花からでも、粉じん爆発を引き起こす可能性もあります。他にも工場などでは製品に粉じんがついて不良が出たり、機械の誤動作や故障の原因になるなどの問題も起きます。

 

 

こんなところで多く発生

粉じんが多く発生する場所はどのようなところでしょうか?
多くは工場、倉庫、建築現場など仕事で使う場所です。
金属を溶かして型に流し込んで加工する鋳物の製造や、金属を溶かしてつなぎ合わせる溶接作業では、金属が蒸発して空気中を漂い粉じんになります。金属のような固いものを切り削る切削作業では細かい切りくずが舞い上がります。
紙を切断する場合にも細かな繊維の粉が空気中に発生します。土埃で煙った中で建設工事が行われているのは、見かたことがあると思います。土やコンクリートを削ったりすることで大量の粉じんが発生しています。食品工場でも粉じんが発生する場所は多く、小麦粉の製粉工場や医薬品工場などでもで多く発生します。また食用油を多く使用する食品加工の工場では、油が蒸発して空気中を漂い粉じんとなります。

 

 

目に見えない細かな塵を測定、粉じん計とは?

人体に悪影響を及ぼすかもしれない粉じんですが、目に見て確認することはできないので測定器で計って、人体に影響が出ない濃度であることを確認することが大切です。
また、労働基準法では含まれている物質ごとに管理濃度が規定されています。その粉じんの濃度を測定するのが粉じん計です。工場や倉庫などの屋内で使われ、一定空間容積あたりの粉じんの量を粉じん濃度(mg/m3)で表します。

 

因みに粉じん計と同じように、空気中の塵を測定する機器はいくつかあります。クリーンルームの中など、非常にきれいな空気の中の塵を測定するにはパーティクルカウンターが、大気中の粉じんには大気環境測定器が使われるのが一般的です。

 

 

どの範囲の粉じんを測定する?

粉じんは空気の中を浮遊していますから、空気と一緒に吸い込んでしまいます。吸い込まれた空気は鼻や喉、気管などを通って肺に入りますが、粉じんが呼吸器のどこまで届くかは粒子の大きさに関係してきます。特に粒子の大きさが10μm以下の粉じんは、肺まで届きやすくじん肺と言われる病気の原因になります。
粉じん計は人体に影響が大きい10μm以下の粉じんを測定します。例えば、たばこ煙やディーゼル排気粒子などが測定できます。粉じん計内部では実際に粉じんを測定する前に、大きい粉じんをあらかじめ除去しています。

 

 

 

どの粉じん計を使う?用途と原理

現在多く使われている粉じん計は、ピエゾバランス粉じん計と光散乱式粉じん計です。それぞれメリット・デメリットがあるので、測定する粉じんの種類や用途によって選びましょう。

 

ピエゾバランス粉じん計は、測定する空気中の粒子を静電気で集め、重さを測ることで粉じん濃度を求めます。
粒子を集めるのには空気清浄機などにも使われている、コロナ放電が使われています。
吸引した空気内の粉じんをピエゾ素子というセンサーに静電的に吸着させます。次に粉じんが吸着した素子を振動させることによって、素子自体の固有振動数との違いを求めると粉じんの質量がわかります。吸引した空気の量と、粉じんの質量から粉じん濃度を求めることができます。
ピエゾバランス粉じん計は、短い測定時間で測定ができる、粉じんの大きさや色に依存しない測定ができる、オイルミストの測定ができるというメリットがあります。一方でピエゾ素子を定期的に掃除する必要があります。

 

光散乱式粉じん計は、光散乱の原理を利用しています。
細かい粒子に光が当たると、光が散乱しキラキラと光ります。この光の散乱の量さは粉じん濃度に比例し、粉じん濃度が倍になれば散乱光量も倍になります。そのことを利用して、粉じんの濃度を測定します。結果は粉じんの質量に比例した散乱光の量cpmであらわされます。これを質量濃度に変換する際にはろ過捕集方法の装置の併用が必要となります。
光散乱式粉じん計はリアルタイムに測定ができる、短い測定時間で測定ができる、粉じん計自体が小型軽量であるというメリットがあります。一方でオイルミストの測定に適さない、粉じんの違いにより誤差がでるというデメリットもあります。同じ大きさの粉じんでも色の違いによって結果が違ってきます。

 

 

粉じん計は10μm以下の危険な粒子を選んで測定することができます。粉じんが多く発生する場合には定期的に測定して、安全を確認しましょう。濃度が高かった場合には、集塵機をつけたりマスクをしたりといった対策も必要です。使用する期間が決まっている場合は、粉じん計などの計測器をレンタルしている業者に問い合わせるといいですよ。

空気中を漂うオイルがある?!オイルミスト・オイルヒューム

オイルヒューム・オイルミストは細かい油が空気中を漂うもので、粉じんの一種です。大量に吸い込むと人体にも影響がありますし、汚れの原因になったり、床につくと滑ったりもする厄介なものです。一体どんな風に発生するのか、どんな測定器を使って測ればいいのか、対策や注意点なども含めてご紹介します。

 

 

オイルミスト・オイルヒュームとは

細かい粒になって空気中に浮遊している油のことです。あの液体の油が空気中にあるというのは、ちょっとイメージしづらいかもしれません。
しかし水も液体ですが、霧吹きで吹くと霧状になって空中を浮遊しますし、温度が高くなれば水蒸気になります。
油も同じように空気中に浮遊することがあるということです。

 

オイルミストが多く発生するのは、機械による加工を行うときです。高速で回転する工具や加工している物に油が当たると、油は細かく切断され細かい粒のミストとなって飛び散ります。一度飛び散ったミストも比較的粒の大きいものは、短時間でまた液体に戻りますが、粒の小さいものは空気中を漂います。
オイルヒュームは油が高温になり、蒸発または分解することによって発生します。オイルヒュームはオイルミストに比べて、粒が小さい特徴があります。

 

 

食用油でもオイルヒュームは発生する

たばこの煙もオイルヒュームですから、喫煙所など煙が立ち込めるところには大量のオイルヒュームが発生しています。
食用油でもオイルヒュームは発生します。自宅で揚げ物をする時にも発生しますが、少量で一時的なものなので気にする人はいないと思います。
しかし食品工場では大量のヒュームが発生します。揚げ物を扱う食品工場はもちろん、パンや菓子などの加工でもオイルヒュームが立ち込めます。
また、機械で金属などを切ったり削ったりする場合には、摩擦の軽減と冷却のために、油をかけながら作業することがあります。これらの油(切削油)が大量のオイルミストを発生させます。
オイルヒュームが発生する代表的な作業は溶接です。溶接は熱で金属を溶かして、接着するもので金属には油が塗ってあることが多く、溶接時に発生するヒュームにはオイルヒュームが多く含まれます。潤滑油としてオイルミストを利用する場合もあります。少ない潤滑油で多くの部分を潤滑できますが、一部のオイルミストが外に排出されることもあります。

 

 

呼吸器や皮膚のトラブル、事故にも注意が必要

粒子が細かくなったと言っても、油はあまり危険性がないような気がしませんか?ところが実際は多くの危険が潜んでいるのです。

 

空気中のオイルミスト・オイルヒュームは、吸い込むと肺に溜まってじん肺を発症する危険性があります。また長時間さらされていると、皮膚に炎症を起こす場合もあります。オイル自体は有害物質ではありませんが、一緒に発生した粉じんに有害な物質が含まれている場合もあります。切削の際に発生したオイルミストには、切ったものの粉が入っていることがあります。溶接ではオイルヒュームと共に金属ヒュームが発生します。
こういった金属には、鉛、ヒ素、クロムなどの有害物質が含まれている可能性もあります。たばこの煙にも多数の有害物質が含まれていて、発がん性があることもよく知られています。
多量のオイルヒューム・オイルミストが発生した場合には、視界が悪くなりますし、床に付着するとスリップ事故を起こす危険性があります。空気中を漂うオイルが機械に入り込むと、故障の原因となります。可燃性のオイルを使用している場合には、小さな火花でも、発火・爆発する危険性もあり、高温になる場所では非可燃性のオイルが使われます。

 

 

粉じん計で測定、オイルコレクターやマスクで防じん

空気中の粒子を除去するには、集塵機という装置があります。工場では扱う材料によって、鉄粉、樹脂粉、ガラス粉、オイルミスト、各種ヒュームなど、様々なミストやダストが発生します。そして使用する集塵機はそれにあったものでないと、十分な効果が得られません。中でもオイルミストをメインに集める集塵機は、オイルコレクターと呼ばれています。
手軽なのに効果が高いのが、オイルミストやオイルヒュームの吸引を防ぐマスクです。防じんマスクの中でも、オイルミスト・オイルヒューム対応のものを選びましょう。
どのくらいのオイルミストがあるのか知りたければ、粉じん計というものがあります。粉じん計のなかでもピアバランス粉じん計を使えば、オイルミストを含む粉じんの濃度を測定することができます。

 

普段見ている油が空気中に漂っているだなんて、小さな驚きがあったのではないでしょうか。健康被害の他にも、スリップ事故や発火の危険性があることを知っていただいて、高濃度のオイルミストやオイルヒュームが発生する場所では、安全のための対策を検討していただければと思います。