建築音響から雑音対策を学ぼう

建築音響という言葉を聞いたことがありますか?
建物・部屋にはそれぞれの目的があります。一般の住宅のお部屋ではご飯を食べたり寝たりするため、コンサートホールだと音楽を聴くため、講演会場だと話を聞くため、音楽の練習室では音漏れを気にせず練習するためといった具合です。
それぞれの場所で必要とされる音響を作り出すための方法が建築音響なのです。
具体的にはコンサートホールなどで綺麗な音を作り出すこと、建物の騒音を減らすことの2つに分けられます。この中で建物の騒音を減らす方法をちょっとだけ見てみましょう。

 

 

音が吸い込まれる吸音

吸音材とはスポンジに水が吸収されるように、音を吸い込んでしまう材質のことです。音が吸い込まれてしまうので、反射音はなくなります。
グラスウールやロックウールなどは、繊維と繊維の間に多数の隙間が空いています。また、ウレタン、メラミンなどは連続気泡と言って、気泡が入っていてかつ気泡同士が繋がりあっていますね。このような素材を多孔質材料といいます。多孔質材料は吸音性に優れています。そのイメージからでしょうか、スポンジのように気泡が入っているものって吸音効果があると思っていませんか?気泡が入っていても、気泡同士がそれぞれ独立している普通のスポンジでは、吸音効果はありませんのでご注意ください。

 

 

空間を使って吸音効果を高める吸音構造

この吸音素材は設置の仕方で、さらに吸音効果を高めることができます。
音源が室内にあり、室内の壁の内側に吸音材をつける場合を考えてみます。
壁に吸音材をつけると吸音率が高くなりますが、壁と吸音材の間に空間があるとさらに吸音率が高くなります。さらに、この空間の中に吸音材を入れ込むと吸音率はもっと高くなります。このような構造を吸音構造と呼んでいます。
それだけでは吸音効果がないのに、後ろに空間を開けた吸音構造にすることで吸音率が高くなる素材もあります。学校の音楽室の壁に設置されていた穴あき板などがそれにあたります。合板なども同じく吸音構造にすると、吸音効果がある素材ですが、音を静かにするというよりもコンサートホールなどの残響音の調整に使われています。

 

 

音が跳ね返る遮音

遮音材とは音が通らない素材のことです。遮音材にぶつかった音は、反対側に通り抜けられないので反射音となって戻ります。
硬くて重い素材、鉛や石膏ボード、コンクリートなどが遮音性に優れていて、重くするほど効果があります。ただし、遮音材単体で外壁の遮音に耐えられるのはコンクリートくらいです。
では、石膏ボードなどはどうやって遮音効果を上げるのでしょう。石膏ボードにゴムなどの制振材を貼り合わせた積層構造にすると遮音性が大きく向上します。遮音材と遮音材の間に空間(空気層)を作った、中空構造も遮音性を向上させます。一般的に遮音材+空間+遮音材の2重構造より、遮音材+空間+遮音材+空間+遮音材のように3重、4重にした方が効果が高くなります。
また中空構造の空間にグラスウールやロックウールのような吸音材を挟むとさらに遮音性が良くなります。これらの吸音材は断熱材にもなるので、この構造は家の外壁などに多く使われます。

 

 

跳ね返った音が響きを作り出す

トンネルを通る時に自分の足音がとても大きく聞こえたり、声が響いたりした経験はないでしょうか。
トンネルは一面コンクリートですから、吸音効果が全くありません。ですから音が反射して普段より大きく聞こえるのです。
音は壁や床、天井に当たると跳ね返ります。これを反射音と言い、反射音は互いに重なりあったり、場合によっては強め合ったりもします。音は硬いものほど良く跳ね返し、吸音材があればそこで吸収されます。室内では直接発生している音と一緒に反射した音も聞いていることになり、室内での音の聞こえ方は反射音の影響を大きくうけます。

 

今度はトンネルの中で話をした場合です。話し終わっても、少しの間余韻が残っている感じがします。これを残響といって、音が反射を繰り返してなかなか消えない状態です。
音が残っている時間を残響時間といいます。残響によっても聞こえ方は大きく違ってきます。この残響音は部屋が大きいほど長く、室内に吸音材が少ないほど長いという特徴があります。

 

部屋の外からの雑音は遮音

外からの音をシャットアウトするには遮音が有効です。部屋の外の音を気にせず、静かに過ごしたいと思ったら音を部屋に入れないことが一番です。
そのためには壁や床、天井に遮音材を使って遮音すると良いでしょう。また壁などで仕切られたところを通過して入ってくる音に比べ、窓や隙間から入ってくる音は非常に大きなものになります。隙間をなくしたり、窓ガラスを2重にすると遮音効果があがります。
部屋の外からの音は壁の外や窓から入ってくる音ばかりではありません。上の階の足音などは、床という固体を伝わって入ってくる音です。固体の中を伝わって入ってくる音は伝わりやすく大きく聞こえます。集合住宅などでは上の階の音が大きかったり、下の階に足音が響くのが心配だったりしますね。床にゴムなどの制振材やフェルトのような吸音材を敷くと、防音効果があります。

 

室内の音は吸音が有効

室内で発生している音や、外から入ってしまった音を制御するには吸音が有効です。家の中で楽器を演奏したいなどの場合には、音を外に出さないための遮音と共に発生している音を吸音することも必要です。また一度家に入ってしまった音も吸音処理で制御することができます。
ただし、音楽を楽しむためのリスニングルームなどでは、この残響音がとても重要になってきます。残響時間を自分好みに調整した究極の、趣味の部屋を作る人もいるくらいです。

 

 

 

NC値は室内の騒音の評価指標

部屋の中が全く音が無い状態ということは殆どありませんよね。では、快適な静かさとはどのくらいの騒音レベルなのでしょうか。その指標となるのが、会話のしやすさを表したNC値です。
音は周波数によっても聞こえ方が違い、周波数ごとにNC値をグラフにしたものがNC曲線になります。
専用の測定器を使って誰でも測ってみることができます。

 

例えばあなたのオフィスのNC値がどのくらいかを測定してみるとしましょう。騒音計(1/1オクターブバンドフィルタ付)で63Hz〜8kHzまでの各周波数帯域の騒音を測定します。その値をNC曲線の値と比較して、全てのポイントで下回る数値があなたのオフィスのNC値となります。いかがでしたか?オフィスの騒音は一般的にNC-40を超えると、大きすぎると言われています。

 

 

ここでは建物の騒音を減らすことについて、建築音響のほんの一部ご紹介させていただきました。ちょっと防音について詳しくなったような気がしませんか?身近な防音対策に役立てていただければ幸いです。
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